めざましい技術の進歩の陰で、今の仕事がなくなるといわれ続ける世の中。
終身雇用は神話化し、大企業ですらいつ倒産してもおかしくないとまでいわれます。
そんな中で手に職を持ちたいという人が近頃増えています。
漠然と手に職を持ちたくなるのも無理はありません。しかしその一方で、手に職を持つことへの疑問もあるのではないでしょうか。
- 「今の仕事をするのと手に職を持つことの違いは?」
- 「手に職を持つ=資格を取ること?」
- 「手に職を得れば職に困らないの?」
そこでこの記事ではこういった疑問にお答えするため、手に職を持つことの意味や専門スキルを身に付けるための具体的な方法について取り上げていきます。
加えて記事の中では筆者自身が手に職を得ることで人生が変わったことや手に職を持つメリット・デメリットについてもお話ししますのでぜひ最後までお付き合いください。
手に職を持つってどういう意味?
「手に職を持つ」という言葉はよく聞くものの、意味はわかっていない人も多いでしょう。
ここでは辞書的な意味から手に職を持つための必須要件についてお話しします。
「手に職を持つ」という言葉の意味
そもそもの話になりますが、「手に職を持つ」とはそもそもどういう意味なのでしょうか。
実はこの言い回しは国語辞典にも載っていないことが多く、まだ意味が確立されていない言葉なのです。
そうはいっても基準はあります。1つの基準になる実用日本語表現辞典には次のように記載されています。
職業または職能を自分のものとすること。生計を立てるための仕事、あるいは、仕事に就くための技能や資格を、獲得すること。
引用元:実用日本語表現辞典
この辞書の内容を考えると「手に職を持つ」という言葉は大きくわけて以下の2つの意味を含んでいることになります。
- スキルを自分のものにすること
- 生計を立てるための仕事につくこと
つまり、スキルの要らない誰でもできる仕事をしていたり、生計を立てられない趣味の領域で仕事をしている場合は「手に職を持つ」状態とは言えません。
逆を言えば専門性のあるスキルを自分のものにし、それを活かした仕事で生計を立てられている状況こそ、「手に職を持つ」状態といえます。
手に職を持つことの本質
「手に職を持つ」ことの本質は、どこでも仕事で稼げるスキルを身につけることです。現にこれから紹介するような仕事の場合、一度手に職を得ればまず仕事に困りません。
- マッサージ師
- 薬剤師
- 歯科衛生士
- WEBデザイナー
- プログラマー
ここで一覧にした仕事に共通しているのは、場所が変わっても活躍しやすいということです。
たとえばマッサージ師なら店舗に勤務するマッサージ師も、フリーのマッサージ師も、技術さえあればお客さんに満足してもらえます。
だからこそ一つの企業に依存する必要がありません。
筆者自身も、同じWEBライティングのスキルを活かし、以前は企業の一員として、現在はフリーランスとしても仕事をしています。
このように、手に職を持つことで、周りの環境に振り回されずに稼げるスキルが手に入るのです。
手に職を得る5個のメリット
手に職を得ることのメリットはたくさんあります。そして手に職を得ることで得られるメリットの中で特に際立つものとしてはこちらの5つがあります。
- 職に困らなくなる
- 稼ぎが増える
- 独立の道が開ける
- 学歴・性別の壁を超えられる
- 気持ちに余裕ができる
ここで取り上げた手に職を持つことで得られる5つのメリットの詳細については上から順番に一つずつ説明していきます。
職に困らなくなる
稼げるスキルを持つことで職に困らなくなります。その理由はシンプルで手に職持つために身につけたスキルはあちこちで需要があるからです。
そのため、仮に今の会社が倒れても、転職先を見つけやすいですし、フリーランスとして独立する道もあります。
筆者もフリーランスとして複数の仕事先と契約しているため、失職のリスクはかなり抑えられています。
あなたの持つスキルが高ければ高いほど、失職のリスクは格段に下がります。
稼ぎが増える
手に職といわれる仕事の方が稼ぎは増えます。
スキルの要る仕事は需要もあり、報酬も高いからです。たくさんの仕事をこなすことができて引く手数多になれば、月収100万円も夢ではありません。
専門性の高い仕事ほど、依頼人の需要に対してスキルを持つ人が不足しています。
たとえばプログラミングを学ぶ人は増えていますが、アプリやゲームを開発できる人となると、かなり限られてきます。
だからこそプログラマーになれば職を失うことはないとまでいわれているのです。
スキルを磨き、あなたの労働者としての価値を相対的に上げれば稼ぎも増えるのです。
独立の道が開ける
手に職を持つことで独立の道も開けます。スキルを武器に自分で仕事を取りに行くことが可能になるからです。
特にスキルの高い人、能力のある人ほど独立したほうが稼げます。
筆者がフリーランスとして独立したのは、そのとき働いていた企業では給料のアップが期待できそうもなかったからでした。
同じ手に職を持っている状態でも、あなたのスキルを正当に評価してくれる環境で働くほうが、快適で収入アップも期待できます。
スキルのある人はフリーランスとして独立することで、依頼人を選べるようになるのでおすすめです。
人に雇われる側から雇う側に転身できれば、自分がやめない限り失職することもありません。
学歴・性別の壁を超えられる
手に職を持つことで、学歴や性別の壁を超えることができます。
昔よりはよくなったとはいえ、男性社会も学歴社会も未だ根強く残っている日本で、女性や学歴を持たない人が活躍するのは難しいことです。
逆に活躍している人は、何かしらのスキルを自分のものにしています。
本来関係ないはずの学歴や性別で差をつけるのは、迷った際に白黒つけられるわかりやすい指標だから、というのがあります。
「この人でなければ頼めない」といわれるスキルを持てば、学歴や性別による差別を受けることもなくなるでしょう。
気持ちに余裕ができる
手に職を持つことで気持ちに余裕ができます。
会社に不満を抱いたとき、将来に不安を感じたときなど、手に職を持っているという余裕の有無で感じ方が大きく異なります。
やろうと思えば転職も独立もできる、というのとここで働き続けるしかない、というのでは前者のほうが自信と余裕が持てるでしょう。
気持ちに余裕ができることで仕事の成果も出やすくなり、収入アップにもつながります。
逆に何かデメリットはあるの?
手に職を持つことのメリットが大きいという話をしましたが、デメリットもあります。それではどんなデメリットが考えられるかというと、主なものはこちらの3つです。
- 時間がかかる
- お金がかかる
- 結婚と称して寄りかかられる
これらは手に職を得る上で起こりうるデメリットです。ただし、やり方次第で克服可能なものでもあります。
そしてこの各デメリットの克服方法についてはデメリットの具体的な説明と併せてこれからご紹介していきます。
時間がかかる
手に職を得るのは一朝一夕ではできません。
スキルを得るためにはそれなりの時間を必要とします。
特に正社員として働きながら独学で勉強、というのは今までの休みをある程度犠牲にする覚悟が必要です。
それにスキルを身につけた後でも、実績を積むまでは無給で仕事をする必要もあります。
このように手に職を得るためには、最初はかなり無理をしなくてはいけないのです。
ただし一旦手に職をつけてしまえば時短勤務でもそれなりに稼ぐことができますから、辛抱できるかどうかが成功の分岐点です。
お金がかかる
スキルを身につけるためにはお金がかかります。
学校で本格的に学ぼうと思うなら、10万〜2、30万円の出費は覚悟したほうがいいでしょう。
もちろん独学ならある程度安くすることも可能ですが、教材などの費用はどうしてもかかります。これは明らかなデメリットといえます。
ただし、きちんとスキルを身に付ければそのスキルを担保に年収アップは簡単に見込めるので長期的には簡単にペイが出来ます。
そのため、スキルを得るためのコストは将来の年収アップの投資と捉えられることをおすすめします。
結婚と称して寄りかかられる
手に職を持つ人は結婚相手に寄りかかられてしまうこともあります。いわゆる経済力目当ての結婚というものです。
前述のように、漠然と手に職を持ちたい人は多いですが、そこまでの道のりには手間と労力がかかります。
手に職を得るための努力は嫌でも、将来の保証が欲しいのが人間の本音です。
高学歴や高収入の人と結婚しようとするように、手に職を持つ人と結婚すればいいと考える人もいるのです。
手に職を持っていると婚活の場では有利になりますが、相手が寄りかかろうとしていないか注意しましょう。
ゼロから手に職をつけるための手順
実は手に職をつけるため鍵はスキルを身につけること、仕事を得ることの2つになります。
当たり前かもしれませんが、スキルがあっても仕事がなければ手に職とはいえませんし、手に職が求められる仕事に就けたとしてもスキルが不十分であれば稼げません。
そしてスキルを身に付け、仕事を得るという2つを実現するためにはこれから取り上げる5つのステップが欠かせません。
- 本を買って勉強してみる
- セミナーで情報収集する
- 知識のアウトプットをする
- 実務経験を積む機会をつかむ
- 実績とともに仕事量を増やす
ここで取り上げた5つの手順の詳細については上から順番に取り上げていきます。
本を買って勉強してみる
まずは本を買って勉強してみましょう。
これは知識を得るためというのはもちろん、適性を見るためでもあります。
本で読むのと実務は違いますが、少なくとも本を読んでいる段階で苦痛になるようなら自分に合わないと思ったほうが良いです。
手に職を持つためにある程度我慢は必要ですが、適性に合わない仕事をするほど非効率なことはありません。
この仕事は自分に合いそうか、という点も考えながら読んでみてください。
セミナーで情報取集する
独学で知識を入れつつ外部のセミナーにも足を運びましょう。
学校で本格的に学ぶのもありですが、無料体験や短期集中講座を利用して情報収集の場とするのがおすすめです。
筆者は学校に通って学びましたが、学校で学ぶことよりも、多くの実務経験から学ぶほうが良いです。
手に職を持つためにはスキルを磨くだけでなく、働き口を得ることも必要だということを忘れないようにしましょう。
ちなみに独学の欠点は実務経験を積む場所や働き口をゼロから自分で探さなくてはいけないこと、現在需要の多いスキルなどの時事情報に乏しいことです。
これらのサポート体制は、教育のスペシャリストである学校のほうが充実しています。
セミナーで勉強しつつ、得られるサポートは極力活用して手に職を得るための最新情報をもぎ取りましょう。
知識のアウトプットをする
本やセミナーで知識を学んだら、並行してアウトプットもしましょう。
要は見本をマネしてみるということです。
デザイナーならデザイン見本通りに作ってみる、プログラマーなら見本通りにコードを書き写してみる、コピーライティングなら広告を書き写してみるなどですね。
ただの見本をマネするだけでなく、実物を元にアウトプットするのがおすすめです。
実務経験を積む機会をつかむ
アウトプットを通じて仕事のイメージが詰めたら、実践経験を積みましょう。この仕事を獲得するのは、手に職を持つためには絶対に欠かせないのでぜひ頑張りましょう。
ちなみに万が一仕事を獲得するのが難しいのでしたら最初は実績を作るために無給でやるのも悪くありません。
もちろんいつまでも無料でやるわけにもいかないので、後々のためにも、
「期間限定で無料サービスします」
といった文言を付け加えておくと無難です。
加えて無料だからといって雑な対応をして良いわけではなく、無料サービスで満足してもらえるかどうかが有料の仕事の獲得に繋がってきます。
実務になれてきたらクラウドワークスなどに登録して簡単な案件から受注していき、実績を積んでいきたいですね。
実績とともに仕事量を増やす
実績とともに仕事量も増やしていきましょう。
特にいつまでも簡単な仕事ばかりやっていては自分のスキルアップには繋がらないので単価が良くて新しい技術も身につく案件を積極的に増やすことをおすすめします。
もちろん難易度の高い案件はなかなか勇気が要りますので技術に不安があるうちは月に1回や週1回といった無理のないペースで請け負うのが一番。
このように色々な仕事に関わる中で実務経験を積み続ければ、手に職を持つという壁はクリアしたといえます。ちなみに今の職場で働きながら手に職をつける方法については以下のページでまとめているのでよろしければどうぞ。
手に職となるおすすめの仕事
ここでは手に職を持ちたい人におすすめの仕事を4つ紹介します。
- WEBライター
- WEBデザイナー
- ITエンジニア
- CADオペレーター
それぞれの仕事について、紹介していきます。
WEBライター
WEB上の文章を書く仕事です。
活字のライターよりも敷居が低く、今は副業としても人気があります。
企業のオウンドメディアなどのメディアライターや、ブログ記事を書くブロガー、広告文を書くセールスコピーライターまで幅広い需要があります。
特にセールスコピーライターなどの売上に直結するスキルを持つライターはまだ不足しているため、需要があります。
一生できる仕事なのでまさに手に職を持つことになります。
ちなみにコピーライターの平均年収は553万円でプログラマーと並びます。
多くの人に親しまれる文章が書ける人は需要が高く、単価も上がりやすくなります。
WEBデザイナー
WEBサイト周りのあらゆるデザインをするのがWEBデザイナーです。
ホームページ全体のデザインからバナーロゴ、フライヤーのデザインまで、仕事は多岐にわたります。フリーランスとして活躍する人が多いのも特徴です。
これから手に職を持つ人にとっては、単価の安い簡単な仕事から始めやすい点も魅力です。
WEBデザイナーの平均年収は482万円です。
WEBサイト全体といった大きなもののデザイン、広告やランディングページといった売上に直結するデザインができれば年収アップにつながります。
ITエンジニア
ITエンジニアはWEBの開発、アプリやゲーム制作が仕事と思われがちです。
実際の仕事はその先のシステムを元に提案するコンサルティング、戦略を考えるためのシステム分析をするシステムアナリストなど、さらに高度な内容も含まれます。
ちなみに最も一般的なのはシステムエンジニアというWEB上のシステムを開発、運用する仕事です。
ちなみにWEB設計、モバイル系を扱うシステムエンジニアの平均年収は588万円です。
エンジニアの中でも開発だけでなく、営業ができるセールスエンジニアは平均年収600万台、経営戦略の根幹を担うシステムアナリストは平均年収1396万です。
エンジニアで営業もできる人は少ないので、営業職の人がITスキルを身につければまさに手に職を持つことになります。
スキルを高めればかなりの高収入が期待できる職業です。
CADオペレーター
意外なおすすめがCADオペレーターです。
聞き慣れない人も多いですが、建築の設計や機械の図面などをCADというツールを操作して制作する仕事です。
CADはComputer Aided Designの略で、コンピューター上で設計図をデザインするツールです。
このCADを使いこなすCADオペレーターに求められるスキルと基本のWEBスキルくらいです。
CADが難しそうに見えますが、CADオペレーターは資格不要で実務に携われる上、経験者が少ないので未経験OKの職場も多いです。
正確で丁寧な仕事ができる、真面目な人に向いています。
建築CADオペレーターの平均年収は494万円です。
この年収は他の仕事と比較して一見少ないように見えますが、時短勤務や派遣社員でも稼ぎやすく、長く続けられる仕事です。
まとめ:手に職を持つと人生が変わる
手に職を持つことは、人生を変えるチャンスです。
筆者も昔は誰でもできる仕事についていました。しかし、WEBスキルという手に職となるスキルを身につけたことで状況は一変します。
以前よりも短時間の労働で年収は上がり、海外に一週間滞在しながらパソコン一台で仕事を進めることもできるようになりました。今では自分の趣味も仕事にしています。
疲れた顔で仕事の愚痴をこぼすサラリーマンのままでいるか、手に職を得て明るく前向きな人生を生きていくか、どちらが良いでしょうか。
今、行動を起こすことが、あなたの漠然とした不安を解決して経済的にも気持ち的にも余裕のある人生に変わるチャンスなのです。このチャンスを逃すのはもったいないですよね。
これにてこのページの内容は終わりになりますが、最後にこのページに目を通された方が良く目にする記事を2つご紹介しますのでご興味があればどうぞ。