実は無料のITスクールの利用は高くつく
「無料でITスキルが学べます」といった謳い文句を前面に出しているITスクールが増えておりますので、あなたも無料でIT技術を学べる学校があることはご存じだと思います。
この「タダでIT技術を学べる」というのは一見するとあなたや私のような利用者側からすると都合の良いように思えますが、お金が取られない理由を知らずに無料のスクールを利用すると後悔する恐れがあります。
それにそもその話、無料スクールと一重に言っても色々なタイプの学校があるので利用する際には各タイプの違いを正しく理解することが欠かせません。
そこでこのページでは無料のITスクールの主な種類や受講料がかからない理由、そして有料のスクールとの違いなどについて取り上げていきます。
3種類の無料のITスクールがある
まず最初に無料で講座を提供しているITスクールの種類についてみていきます。そのためにも受講料が無料のITスクールの主な3つの系統をまとめてみました。
- ハローワーク提携型
- 転職あっせんタイプ
- 事実上の企業の研修型
ここで取り上げた1~3の3種類のITスクールの特徴については上から順番にこれから取り上げていきます。
ハローワークの提携型
最初に取り上げるハローワーク提携型というのは、ハローワークと提携しているITスクール講座です。
このタイプのスクールの場合、ハローワークから受講認定を受ければ無料で講座を受けられるばかりか適切な手続きをすれば月に10万円程度の職業訓練受講給付金というお金がもらえます。
つまり、お金をもらいながらITスキルを学べてしまうのです。これはすごくうれしいですよね。
ただし、ハローワークと提携しているITスクールが開催する無料講座は原則として失業中の方を対象に平日に開催されます。
そのため、現在何かしらのお仕事をされている人は参加が難しい、という点は念頭に置く必要があります。
転職あっせんタイプ
次にご紹介するのは転職あっせん団体が運営しているITスクールです。
このタイプのスクールは講座の受講後に受講生の転職活動を支援し、スクールの紹介経由で転職が決まれば講座の受講料を無料にしております。
つまり、この転職あっせん団体が運営するスクールを利用すれば無料でITスキルの取得と仕事の獲得の両方ができてしまうのです。
この話を聞くと「転職あっせん型のITスクールっていいな・・・」と思うかもしれませんが、1点注意しなくてはいけないポイントがあります。
そしてそのポイントが何かというと、転職あっせん団体は受講生を転職させることで転職先からお金をもらっている以上、あなたがその団体と提携している企業への転職・就職をしなければ受講料が自腹になってしまう点。
この点を考えると転職あっせん型のITスクールの受講料は常に無料ではない、ということを押さえておくことをおすすめします。
事実上の企業の研修型
3つ目にご紹介する無料のITスクールは企業が採用活動の一環として提供しているスクールです。
このタイプのスクールは無料でプログラミング技術を教える代わりにカリキュラムの修了後には一定期間スクールを運営している団体やその団体の関連企業で働くことを義務付けております。
言ってしまえば自社で働いてもらうことを前提にした人材を無料で鍛えるプログラムとなっているので、内定直結型の企業の研修制度のようなものです。
ちなみにカリキュラムの受講後にスクール側が指定した企業での就業を拒否する場合は受講料の全額負担が求められるケースがほとんど。つまり、無料なのは条件付きなのです。
そのため、企業研修を兼ねて受講料をタダにしているITスクールの場合はサービスを利用する前に受講後に就職する会社についてきちんと調べておくことが不可欠です。
無料のITスクールの4つの罠
ここまで3種類の無料でIT技術を学べるスクールの特徴と相違点についてご紹介しましたが、無料スクールの根本的な課題については特に触れていませんでしたよね。
そこでここからは無料のITスクールに見受けられるこちらの4つの問題点について1つずつご説明していきます。
- 学べるプログラミング言語が限定的
- 講師の質がいまひとつ
- 受講の際の条件が厳しい
- 卒業後の進路が限定される
まずは1の「学べるプログラミング言語が限定的」という点からみていきます。
学べるプログラミング言語が限定的
実は無料のITスクールは有料のスクールと比べて数が少ないです。
その上、無料のスクールは有料のスクールと違ってHTMLやCSS、それにJavaといった有名なプログラミング言語を学習題材としております。
つまり、今日最も市場で評価されているpythonをはじめとした旬なプログラミング言語を学ぶチャンスはありません。
しかも無料であるがゆえにあくまで基本的な文法の座学やコーディング実習ばかりであり、オリジナルのアプリやシステムをゼロから作るような講義はほぼないので実践的なスキルを身に付けるのは難しいです。
講師の質がいまひとつ
2つ目にご紹介する無料のITスクールの問題点は講師の質です。
現に無料のスクールの講師というのは概して現役のIT業界のプレイヤーではなく、既に第一線を離れて「教える側」に移った人が多いです。
例えばハローワークが提供している無料のIT講座の講師は50歳前後の方が多く、どうしても最新の技術には疎い人も少なくありません。
そのため、講座の内容自体は役に立つとはいえ現在の現場でそのまま使える知恵やテクニックを学ぶという点においてはイマイチなケースがほとんどです。
受講の際の条件が厳しい
3つ目に取り上げる無料スクールの問題は受講の審査や受講後の制約が厳しい点です。
例えばハローワークと提携している学校の場合、まず失業をしている必要があります。この点を考えると失業状態になれば受講ができませんよね。
それに転職のあっせん団体が主導する無料のIT講座の場合、スキルを覚えた後に少なくとも数年間は団体と提携のある企業での勤務が事実上義務付けられます。
こういった制約があるので無料のITスクールには利用しにくいという大きなマイナスポイントがあるのです。
卒業後の進路が限定される
実は無料でIT技術の指導をしている「転職あっせん型」のスクールは提携している企業の数はパソナグループやパーソルキャリアといった大手の転職エージェントと比較すると少ないです。
加えてスクールが提携している企業の中には社内にIT人材が不足しており、中のメンバー一人一人の業務量が過剰な「ブラック企業」も少なくありません。
この点を考えると無料のITスクールを利用する場合、せっかくスキルを得ても望まない職場に就業することになるリスクがあるのです。
有料の学校をおすすめする理由
ここまで無料のITスクールの実態や問題点についてはある程度取り上げきりましたので次は有料のITスクールの3つの特徴を一覧にしてみました。
- 自分に合った学校を探せる
- コースを修了すれば一通りのスキルがつく
- 就職・転職のサポートがある
1~3の詳しい内容については上から順番にこれから触れていきます。
自分に合った学校を探せる
実は有料のITスクールの数は無料のITスクールと比べると格段に多いです。
そのため、受講料が無料であることを条件に利用する学校を絞り込むよりも格段にあなたのレベルに合った学校を見つけることができます。
この学校選びの柔軟性は有料のITスクールを利用する際の重要なメリットになります。
コースを修了すれば一通りのスキルがつく
加えて有料のITスクールの場合は普通に受講すれば誰でもある一定レベルのスキルを得られる環境があります。
なぜなら有料のITスクールは受講生からお金を取る分、受講生がスキルを得られるようなカリキュラムが組まれているからです。
そのため、学校側が定めたカリキュラムの内容を漏れなく学習すれば自ずと基本的な技術を習得出来てしまうのです。
就職・転職のサポートがある
実は有料のITスクールは受講料を受講生から取っている以上、卒業後の進路はスクールが指定をした企業に就職する義務はありません。
しかもただ義務がないだけではなく、有料のITスクールにはキャリアカウンセラーがいる学校が多く、彼らに相談をすれば自ずとあなたのキャリアプランに合った会社を見つけることができます。
このキャリアカウンセラーと一緒に自由に卒業後のプランを考えられるのは卒業後の進路に制約が課される無料のITスクールではありえないので注目しておくことをおすすめします。