正社員ではなく契約社員として働いていると雇止めの不安があったり、正社員と違って使い捨ての駒のように扱われて嫌な思いをすることもありますよね。
実は私自身、契約社員をはじめとした非正規雇用者として4年間ほど働いた経験があります。当時は「お前は非正規だから」という形で一人だけ賞与をもらえないという悔しい経験をしたことがあります。
非正規差別の被害に遭っていた当時は本当に悔しかったので、スキルアップをして非正規を抜け出した経験があります。
そんな私ですが、人間観察能力の高さが評価されて複数の企業の面接担当者を務めてきました。採用活動に関わる事を通して企業側が非正規雇用者をどのように扱っているのかの実態を採用担当者の立場で目の当たりにするようになりました。
本来であればなかなか表に出ないディープな情報ですが、今のあなたのお役に立てればと思い今回初公開致します。
ざっとでも目を通せば企業が契約社員を使い捨ての駒のように扱う理由に加えて雑に扱われないために何をすれば良いかについてご紹介していきます。
多くの企業は契約社員を使い捨て人材とみる
まずはじめに契約社員として働いてるあなたには衝撃的な事実になりますが、少なくない数の企業が契約社員を使い捨てのコマとして見ております。
なぜ企業が契約社員を使い捨てのコマとして見るのかについては私自身の四年間の雇用非正規雇用者として働いた過去の経験と複数の企業で採用担当者を任された事で得た知見の両面からご紹介していきます。
数か月~数年しか雇用しない事を前提に雇っている
まず大前提の話しとして契約社員は契約期間があるので期間中さえきちんと働いてくれればいいと多くの企業は考えております。
なぜなら契約社員の雇用契約書を見てもらいたいのですが、契約社員の契約書には「契約期間終了後は契約を延長することがある」、といった表記があります。記載内容が「契約を延長することがある」、という表記である以上、延長しない事を前提としているのです。
つまり、企業側の立場に立てば契約期間が終了すれば辞めてもらう事を前提にしているのです。
非常に残酷ですが、契約書の書面を見ても契約社員というのは一生働いてもらうことを前提とした雇用形態ではないのです。まさに使い捨てですよね。
参考記事:期間労働者として働く事の悲惨な未来とは?
給与はアルバイトと大差ない条件であるケースが多い
多くの企業が契約社員を事実上の使い捨てとみている理由の一つに給与があります。
一見すると契約社員は正社員と同様に月給という形で支給をしておりますが、時給に換算するとアルバイトと同じぐらいのケースが多いです。
そもそもの話になりますが、あなたの時給額は年間で支給される年収と働いてる時間を割れば出てきます。
例えば年収210万円で毎月175時間働いていれば年間の労働時間は2,100時間になります(175×12)。そして時給に関しては、210万円を2,100時間で割って算出される1,000円です。
世の中には時給1,000円のバイトはいくらでもあります。つまり、年収200万円前後の契約社員の実質的な労働条件はアルバイトと同じようなもんです。
給料の金額を見ても安くこき使うことを前提にすることはよくわかりますよね。
それに会社によっては正社員にはボーナスを払うものの契約社員にはボーナスを払わない会社も実はあります。
2020年から始まった同一労働同一賃金のルールでは明らかな違法ですが守ってない企業は少なくありません。雇用条件という面において明らかに差別があることを考えても企業側は非正規労働者を使い捨ての駒と見ているケースが多いです。
正社員と違い教育投資の対象にはしない
契約社員を使い捨てのコマとして見ているポイントの一つに教育投資の存在があります。
実は多くの企業は契約社員に対して十分な研修を行いません。なぜなら、契約社員や非正規雇用者に任せる仕事というのは一部の専門職ではない限りは誰でもできる作業であったり、頭を使わない肉体労働であるケースが多いからです。
そのため、何年同じ職場で働き続けたとしてもキャリアとして評価されるような経験やスキルを身につけません。
それに企業側は契約社員に対しては「単純作業」をやってもらうことを前提に雇い入れる以上、作業以上の仕事が出来る人材に育てるための教育投資を行いません。
企業の役割の一つに人材を育てる事があるにも関わらず、教育投資の対象から外されている点を考えても使い捨て人材と思われていると言えます。
契約社員が雇用の調整弁である理由とは?
これまでの内容で契約社員が使い捨てのような条件で働かされていることがよくわかったと思います。
しかしどうして非正規雇用者が使い捨ての駒として見られる根本的な原因については特に取り上げてきませんでした。そこでここからは契約社員をはじめとした非正規雇用者が雇用の調整弁という名の使い捨ての駒として扱われる本質的な原因についてご紹介します。
正社員と比べれば気軽に契約を切れるため
まず大前提のポイントとして日本では正社員と比較すると契約社員は簡単に首を切れると言う実情があります。
なぜなら、契約社員には契約期間があるので期間を満了したときに契約を終了することは法律上認められているケースが多いためです。
一方で正社員の場合は正社員側によほどの落ち度がない限りは解雇することができません。なぜなら労働法が非常に強くて正社員を解雇する際には以下の解雇四要件を満たさなければいけないためです。
- 人員整理の必要性
- 解雇回避努力義務の履行
- 被解雇者選定の合理性
- 解雇手続きの妥当性
簡単に言えば、解雇する必要性があり、解雇を回避するために会社として努力をしたのかが問われます。そして解雇者を選ぶ際の妥当性や解雇に至るまでのプロセスがまともであるのかどうかまでチェックされます。
解雇四要件の詳細は静岡労働局の公式サイトをご確認いただきたいのですが、解雇四要件を満たすのは簡単ではありません。それに満たさなければ解雇は無効になります。
つまり人件費を削るために人を減らさなければいけない時は、契約終了のハードルの低さからどうしても契約社員をはじめとした非正規雇用者が狙われるのです。
企業の経営者の多くは非正規雇用者には冷たい
さらに多くの経営者は正社員と非正規雇用者を比較すると明らかに非正規雇用者に対しては冷たい傾向があります。
例えば私が昔働いてた会社の経営者は、正社員の雇用は絶対に守ろうとしておりましたが非正規雇用者に対しては業績が悪くなると一瞬で首にしていました。事実、私はクビにされたことがあります。
しかも非正規雇用者との契約を終了させた際には、「あいつは正社員じゃないからいいよね、」と平気でひどいことを言っていたようでした。同僚から聞いた時には怒りで我を忘れそうになりました。
「正社員じゃないからいいよね」という発言にあるように、非正規雇用者は正社員と比較するとどうしても雑に扱われてしまうという傾向があるのです。
参考記事:今すぐ期間雇用者を辞めるべき理由
正社員登用や無期雇用に期待をしてはいけない
現在契約社員で働いているあなたは正社員登用や有無期雇用への転換を期待して頑張っているかもしれません。
しかし、人材採用に携わっている立場から申し上げると契約社員に対しては多くの企業は無期雇用も正社員登用も余程のことがない限りは切り出さないと思った方が良いです。
なぜ正社員登用や無期雇用を期待してはいけないかと言うと、企業側は契約社員を特定の期間だけ働いてもらうことを前提に雇用しているためです。
非常に雑な言い方になりますか、期間限定で人手が足りないから雇うの人材であり、人手が足りたら契約を終了すれば良い、という感覚で雇用してる会社は少なくありません。
一方で正社員登用や無期雇用に転換をすると、契約期間がなくなるので期間終了後に契約を解除することができなくなります。
企業側の元々の雇用意図とはズレた状況が起きる以上、多くの企業はよほど優秀ではない限りは無期雇用転換や正社員登用は避けたがるのです。
使い捨ての駒にならないための3つのポイント
これまでの内容を通して契約社員を始めとした非正規雇用者が企業側に使い捨ての駒として扱われる背景はなんとなくわかったと思います。
そこで次に使い捨ての駒として雑に扱われがちや非正規雇用者が使い捨てとみられないために心掛けておきたい三つのポイントをご紹介します。
替えの利かない人材になってしまう
一つ目にご紹介するのは、社内の仕事を頑張って替えのきかない存在になり、使い捨てができない存在になってしまうことです。
そもそもの話になりますが、非正規雇用者が使い捨てと見られる理由は任される業務が誰でも出来る業務であり、あなたが辞めても他の人を雇えば会社が回ると思われているためです。
つまり逆を言えばあなたが辞めると困る存在になってしまえば仮に雇用契約上は契約社員であっても使い捨ての駒と思われることはありません。
事実私は過去に契約社員として働いていた会社で社内の新規事業と人事評価制度の立案を一人で担当したことがあります。
担当した新規事業は黒字化しましたし、策定した人事評価制度は採用されて運用も一人で任されたので全貌を私以外が知らない状況になっていました。
その結果として契約社員でありながらも辞めると大変な事になるということで社内で最も発言権がある人間になりました。
そのため、正社員オファーも何度も切り出されましたが、当時の会社が嫌いだったので辞めやすい契約社員として働き続ける事を敢えて選んでいました。
私のケースは極端ですが、仕事を頑張って辞めたらまずいと思われる存在になってしまえば使い捨ての駒として扱われる事は無くなると思ってしまって大丈夫です。
正社員オファーをされる働きをする
二つ目にご紹介するのは正社員オファーをもらえる例外的な一部の優秀な非正規社員になってしまうことです。
改めての話になりますが、契約社員が使い捨てと思われる根本的な理由の1つに契約期間という存在があります。契約期間の存在のために、契約期間中だけ会社にいる人、と思われるために使い捨てのように扱われるのです。
一方で正社員になってしまえば雇用期間という存在がなくなる分、企業側は一度雇い入れると定年まで在籍することを前提に雇用する必要が発生します。
定年まで働くことを前提で雇い入れられれは当然、使い捨ての駒という形で雑に扱うことはできなくなります。不思議なことに労働者のパフォーマンスが変わらなくても雇用形態が変わるだけで扱われ方が変わる、という状況が起きるのです。
そのため、正社員登用を打診されるだけのパフォーマンスを出して、正社員になってしまう事は「使い捨て」と思われる状況からの脱却に繋がります。
正社員として他社に転職してしまう
使い捨ての駒として扱われないために最も手っ取り早いのは正社員として他の会社に移ってしまうことです。
なぜ、使い捨てと思われる状況からの改善において他社に正社員として転職するのが一番だと言えるかというと以下の二つの理由があるからです。
- 現職での無期雇用の転換や正社員登用はハードルが高い
- 使い捨てと思われる理由は雇用期間の存在のため
改めての話になりますが、多くの企業は契約社員を正社員や無期雇用者に転換することを積極的にはしません。そのため、雇用条件の変更を勝ち取るのは簡単ではありません。
それに契約社員が使い捨てのような扱いを受ける根本的な理由は雇用期間の存在である以上、雇用期間のない働き方にシフトするのが一番効果的です。
上記の二つのポイントを考えると今の職場で正社員登用を目指すのではなくて他の会社で正社員になってしまうのが一番手っ取り早いという結論になります。
実は私自身、契約社員の状態から正社員の雇用形態で他社に転職できた経験を持っております。そのため、正社員として雇い入れる価値のあるスキルや経歴があれば転職は難しくないと言い切れます。
今回の内容のまとめ
今回は契約社員が使い捨てだと思われている根本的な理由や使い捨ての駒として扱われる状況から抜け出すためにやるべき事をご紹介しました。
色々な情報をご紹介してきましたので、これまでの情報の整理のために特に重要なポイントを改めて一覧にしてみました。
- 多くの企業は契約社員を一生雇い続ける気はない
- 使い捨てにされる根本的な理由は雇用期間の存在
- 契約社員の賃金はバイト並みのこともある
- 法律で禁止されている正社員との不合理な格差が残ってる会社は一定数ある
- 契約社員は契約期間の終了時に契約を終了できるので雇用の調整弁になっている
- 多くの企業は正社員登用や無期雇用転換には慎重
- 使い捨ての駒から抜け出す方法は以下の三つ
→替えのきかない人材になってしまう
→正社員オファーを貰える働きをしてしまう
→現職に見切りをつけて正社員として他社に転職する
今回取り上げた上記のポイントをおさえればまずは十分です。
最後になりますが、使い捨てと思われないポイントは真面目に働き、真面目にスキルアップをして社内・社外での評価を高める事です。私自身、社内評価と社外評価を上げて正社員登用も契約社員から正社員への転職の2つを勝ち取った経験があります。
そこでもしあなたが現職で使い捨てのような扱いをされることに不満があるようでしたら、スキルアップに取り組んだり、仕事ぶりを改善することをおすすめします。
あなたが会社に舐められない存在になれる事を応援しております。
参考記事:期間雇用者から抜け出すための王道ルート