最近増えている派遣社員という働き方ですが、実際のところよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
派遣社員という働き方は本当に自分に向いているのか、このまま派遣社員を続けていて良いのか、悩んでいる人もいるでしょう。
そこで今回は、以下のような内容について解説していきます。
- 正社員や契約社員、アルバイトとどう違うのか?
- 派遣社員を選ぶ5つのメリット
- 派遣社員を選ぶ5つのデメリット
- 派遣社員はどんな人に向いている?
- 派遣社員のデメリットを解消するためにおすすめの方法
ぜひ最後までお付き合いください。
派遣社員とは?正社員や契約社員、アルバイトとどう違う?
派遣社員の他にも、正社員や契約社員、アルバイト、といった様々な雇用形態があります。その中でも、派遣社員と契約社員、派遣社員とアルバイトの違いがよくわからないという人は多いのではないでしょうか。
そこで派遣社員という働き方の実態をご理解いただくために契約社員・アルバイト・正社員との違いをまとめてみました。
派遣社員という雇用形態の位置付け
雇用形態 | 派遣社員 | アルバイト | 契約社員 | 正社員 |
---|---|---|---|---|
契約先 | 派遣会社と契約 (派遣先企業へ出向) | 直接契約 | 直接契約 | 直接契約 |
給与 | 時給 | 時給 | 月給 | 月給 |
契約期間 | 1ヶ月〜3ヶ月単位 (上限3年) | 基本は無期 | 半年〜1年単位 (上限5年) | 無期 (定年まで) |
上記の表に、雇用形態別の違いをまとめました。
基本的には派遣社員は契約社員と位置付けが近いのですが、派遣会社を通じた契約になるという点が最も大きな違いです。
また、派遣社員、アルバイト、契約社員は共に非正規雇用であり、正社員だけが正規雇用扱いになります。
たまに、「無期契約=正社員」と勘違いしている人もいますが、アルバイトのように無期契約でも不況の際には真っ先に切り捨てられる雇用形態もあります。
無期契約という言葉に騙されないように契約内容、雇用形態はしっかり確認しましょう。
仕事の内容と責任範囲
基本的に責任ある仕事を任されるのは正社員、誰でもできる仕事を任されるのが非正規社員、というのが一般的な仕事内容です。
特に、派遣社員や契約社員は、繁忙期などに一定期間人手を補填したい企業にとっては便利な存在です。
一般的な責任範囲の狭い順に並べると、アルバイト・派遣社員<契約社員<正社員、というのが一般的なイメージになります。
ただし、実際には企業によって正社員と同等の仕事を契約社員やアルバイトが実質担っているというケースもあり、同じ仕事をしていても低賃金で使われているというパターンもあるのが現状です。
派遣社員の場合、事前に業務内容が決められており、その上で派遣会社と契約しているため、業務範囲が事前に契約したものと異なる場合は派遣会社に相談するという手があります。
世間の評価
責任範囲の違いや契約携帯の違いなどはあくまで制度的なものです。では、派遣社員の世間的な評価はいかがでしょう。
一般的なイメージで言えば、アルバイトよりも派遣社員というと聞こえが良いようで、なんとなく正社員に近いイメージを持たれます。
しかし、実際にはアルバイト、派遣社員、そして契約社員も非正規社員に変わりありません。
そのため、転職市場における経歴としては、ほとんど同じ扱いになるのが現状です。
実際、誰でもできる仕事を任されている、という店ではアルバイトと同じなので、非正規雇用=社会人経験とはみなされない事も少なくない事実があります。
働き方に伴う5つのメリット
派遣社員にはどんなメリットがあるのでしょうか。アルバイトとも契約社員や正社員とも違う、派遣社員ならではの良さを5つご紹介します。
仕事選びがしやすい
今は新型コロナの影響もあり、かなり悩ましい仕事探しですが、派遣社員の場合は派遣会社がしっかりとサポートしてくれます。
担当の営業さんはあなたの希望に合った仕事を提案してくれる他、親身に相談に乗ってくれたり、顔合わせに付き添ってくれたりする頼もしい存在です。
管理人の知人ケースでは営業担当の方が次々と顔合わせのセッティングをしてくれたおかげで、約2週間のうちに働き口が決まりました。
派遣会社の営業担当さん次第なところもあるので、派遣会社選びも重要なポイントですが、それについては後述します。
スキルがなくてもできる仕事もある
前述の通り、派遣社員が任されるのは誰でもできる仕事が多いです。言い換えれば、スキルがなくてもできる仕事があるとも言えます。
とにかくなんでも良いから今できる仕事を見つけたい、一定期間の収入を確保したいという場合には、派遣社員の方がアルバイトよりも早く決まることもあります。
職種や条件をあまり選ばなければ、スキルがなくても何かしらできる仕事を探しやすいというのは、派遣社員の大きなメリットです。
さまざまな現場を経験できる
アルバイトや正社員とは異なり、派遣社員はさまざまな現場を経験することができます。契約期間が1ヶ月〜3ヶ月と短く、契約期間満了特であれば後腐れもなく転職ができるからですね。
また、そもそも同じ職場には3年までしかいられないため、必然的に職場を変える必要があるとも言えます。
これは、一つの企業や職種に拘らず、常にさまざまな仕事を経験したいという人にとって、大きなメリットと言えます。
休暇取得や時短勤務がしやすい
休暇取得や時短勤務がしやすいのも派遣社員のメリットです。
契約時にあらかじめ決められた定時があるからというのもありますが、業務範囲が狭いので、休みを取ってもあまり企業の痛手にならないからでもあります。
また、時短勤務を希望している場合は実動時間の短い仕事を選ぶこともできます。それにあまり知られていませんが、派遣社員であっても半年間同じ職場に勤めれば、有給休暇も付与されます。
必ずしも週5日、実動8時間で働く必要がないという点も、派遣社員の大きなメリットです。
派遣会社のサポートを受けられる
派遣社員ならではのメリットが、派遣会社のサポートを受けられるという点です。
仕事の悩みのみならず、職場の人間関係の悩みやトラブルの相談にも乗ってくれます。場合によっては企業と派遣社員の間に入って対応してくれることもあるのです。
会社には直接言い難いことや言えないことを相談できる第三者の存在は心強いものです。
派遣会社によってはスキルアップのための研修制度やオンラインで学べるeラーニング講座もあり、あなたのスキルを底上げするサポートもしてくれます。
働き方に伴う5つのデメリット
メリットも多い派遣社員ですが、気になるのは派遣社員のデメリットですよね。派遣社員にはどんなデメリットがあるのか、具体的に5つ解説します。
収入が不安定
派遣社員の収入はかなり不安定です。
あらかじめ決められた契約期間を全うできずに解雇されるということもよくあるからです。
特に派遣社員は「派遣切り」という言葉がある通り、真っ先に解雇されやすいと言えます。
また、派遣社員は福利厚生があまり受けられず、病気やケガの際にも保障があるわけではないので、急に働けなくなった場合は簡単に収入が減ってしまいます。
人によっては急に働けなくなったことが原因で契約切りに遭ってしまうこともありますので、働き方そのものが不安定と言えます。
気に入った職場でも働けるのは3年まで
有期契約で職場を変わるのが容易ということは、すなわち気に入った職場だとしても、契約期間満了してしまえば働けなくなるということです。
特に派遣契約の場合、同じ職場で働けるのは3年までという上限が決められています。
もちろん、これは必ずしもそれ以上同じ職場で働けないという意味ではなく、契約社員への切り替えなどをすることで、同じ職場に残れることもあります。
派遣会社の営業担当によっては、「この職場で働き続けたいかどうか」という意向伺いはしてくれるでしょう。
しかし、契約更新をされるかどうかも契約の切り替えをしてもらえるかどうかも、相手先企業に委ねられている、というのが派遣社員の弱いところです。
派遣社員の運命は、実質派遣会社と契約先企業に握られていると言っても良いでしょう。
真っ先に契約を切り捨てられるリスク
繰り返すようですが、派遣社員の運命は契約先企業と派遣会社に握られているため、何事かがあれば真っ先に契約を切り捨てられるというリスクがあります。
派遣社員は期間の短い有期雇用であるがゆえに、アルバイト以上に契約を切り捨てやすい存在です。
そういう意味ではただでさえ雇用が不安定な非正規雇用の中でも最も立場が弱いと言えるでしょう。
大きな案件は任されない
あなたが意欲的でキャリアアップを望んでいたとしても、派遣社員であるためにそれが叶わないことは多くあります。
大きな責任ある仕事になればなるほど、
- 「派遣には任せられない」
- 「派遣にはやらせない」
というのが企業の本音です。
もしものことが起きても責任を取れないという立場的問題もありますが、多くの企業にとって、派遣社員は社会的地位の低い人、という見方をされてしまうため、というのもあります。
向上心のある人だとしても、派遣社員がゆえに簡単な仕事しか任されず、いつまで経っても昇給が望めないというのは非常にもったいない話です。
会社の福利厚生がほぼない
近年、会社独自の福利厚生制度を置いているところは多くあります。
しかし、多くの会社のルールとして、派遣社員は福利厚生制度のほとんどが対象外となっています。
特別休暇や手当といった制度の恩恵を受けられないために、見た目の給与は同じくらい稼いでいても、労働時間あたりの稼ぎが正社員よりずっと低い、ということもあります。
派遣社員と正社員には見た目の給料以外にも、こういったところで大きな差がついているのです。
派遣社員はどんな人に向いている?
派遣社員のメリット、デメリットをまとめたところで、派遣社員が向いている人、向いてない人をまとめてみました。
派遣社員が向いているのはこんな人!
派遣社員は次のような人に向いています。
- 稼ぎはそこそこで良いからプライベートの時間を大切にしたい
- 他に時間を割きたいことがあり、休みが取りやすいところが良い
- 働ける時間が決まっている
- 稼げても責任の重い仕事はやりたくない
- さまざまな職種を経験したい
基本的に、給料がそれほど見込めなくてもプライベートの時間を確保したいという人には派遣社員は向いていますね。
派遣社員が向いてないのはこんな人!
逆に、派遣社員が向いていないのは次のような人です。
- 老後のためにもしっかり稼いで貯金をしたい
- 気に入った職場で長く続けたい
- バリバリ働いて正社員を目指したい
- 大きな仕事に挑戦して達成感を得たい
- 仕事もプライベートも充実させたい
仕事で充実感や達成感を得たいという人、何がなんでも正社員を目指したい人には、派遣社員は向いていないと言えます。
不安定な雇用に伴うデメリットを解消する方法
派遣社員として働きたいけれども、できる限りデメリットは避けたい、というのが本音ですよね。
そんな人のために、派遣社員のリスクを少しでも減らせるおすすめの方法をピックアップして解説します。
派遣会社選びにこだわる
派遣社員として充実した働き方をするためには、派遣会社選びにとことん拘りましょう。自分に合った会社を見つけることが、派遣生活を充実させるための第一歩だからです。
最初から、自分に合った良い派遣会社を見抜くのはなかなか難しいですから、まずは2、3社同時平行で登録してみるのが良いでしょう。
派遣会社の営業担当者が親身になって話を聞いてくれたり、マメにコンタクトを取ってくれたり、すぐにあなたの要望に沿った仕事を紹介してくれたりする派遣会社を選ぶのがおすすめです。
どこが良いところか判別がつき始めたら、気に入った派遣会社に絞って就職活動をしましょう。
派遣会社は紹介停止をすることもできるので、次に必要になる時まで紹介停止しておけば煩わしさもなくなります。
派遣会社のキャリアサポートを活用
派遣会社の充実したキャリアサポートを活用することで、より快適に派遣生活を送ることができます。
スキルアップをしたい人は派遣会社の研修制度を活用したり、資格取得支援制度を利用したりすると良いでしょう。
また、派遣会社独自の福利厚生制度があるところもあり、福利厚生が手薄になりがちな派遣社員にとって、活用しない手はありません。
職場を変えたくなった時、思い切って正社員を目指したい時にも派遣会社に相談するのがおすすめです。
場合によっては希望に合わせてグループ内の別の派遣会社を紹介してくれることもあります。
隙間時間を生かしてスキルの勉強をする
仕事の時間が決まっており、隙間時間を作りやすい派遣社員にとって、それを生かさない手はありません。
空き時間をスキルの勉強に充てれば、できる仕事が増え、より収入の高い仕事を目指すこともできます。
特に正社員を目指したい気持ちがあるけれども現在派遣社員をしている人は、スキルを身につけてから正社員への転職活動をすることで、格段に成功率が上がります。
現代は、オンラインで勉強ができる専門スクールや、通信教材が充実していますから、まずは無料説明会などに参加してみると良いでしょう。
副業で稼ぐ
自分の時間は確保したいけれども収入は増やしたい、という人は派遣社員をしながら副業で稼ぐという方法もあります。
正社員の副業はいまだにハードルが高いですが、派遣社員であればそれほど縛りもなく副業ができる場合がほとんどです。
近年は、フリマアプリで不用品を売るなど、在宅でできる簡単な副業も多いです。自分に合った副業で収入源を増やせれば、派遣社員でも正社員並みに稼ぐこともできます。
思い切って正社員を目指す
派遣社員から思い切って正社員を目指す、というのもおすすめです。
近年は、紹介予定派遣制度といって半年間の派遣社員としての試用期間を経て、双方合意があれば正社員として契約できるという雇用形態もあります。
しかし、ハードルはかなり高いので覚悟が必要です。
また、職種を選ばなければ正社員求人を探して転職活動をするのも良いでしょう。こういった時に、短期契約の派遣社員は辞め時を見つけやすいので気楽です。
30代を超えると一気に正社員を目指すことが難しくなりますから、行動は早めにしましょう。
デメリットが多い派遣社員から人生逆転するために
派遣社員という働き方は気楽ですが、その分立場が弱く、デメリットも多いです。世間的にも派遣社員というだけで結婚を断られるケースもあります。
そんな派遣社員から人生逆転するためには、スキルを身につけるなり転職活動をするなり思い切った行動をする必要があります。
年齢を重ねるにつれ、キャリアチェンジは困難になっていくのが現状です。今からでも少しずつ、将来を真剣に考え、努力してみませんか?